取り扱いが難しい液体の正確で再現可能なピペッティング操作

世界中の研究所で、ほぼすべてのピペッティング・アプリケーションに使用できる、きわめて正確なエアークッション式ピペットが広く使用されています。ただし、粘性、不安定さ、表面張力、または密度が水とは異なる液体に対しては、ピペッティング操作の結果の精度や再現性に影響を与えることがあります。このような場合や発泡性のある液体の場合には、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用することにより、ピペッティング処理が単純化されるとともに、正確な結果を得ることができます。また、ポジティブディスプレイスメント式ピペットを使用することにより、クロスコンタミネーションのリスクがなくなり、有害な液体からエンドユーザーおよび装置を保護することができます。エアークッション式ピペットのみを使用している場合でも、上記のような液体を、どのように取り扱えばよいのかを、下記で、ぜひお読みください。

エアークッション式とポジティブディスプレイスメント式の比較

エアークッション式

エアークッション機構を備えた一般的なピペット。
ピストンと液体がエアークッションによって分離されています。温度および湿度が変化するとエアークッションが伸縮します。そのため、液体の吸引量が変化します。エッペンドルフエアークッション式ピペット(Research plus®Reference®2Xplorer®epMotion®)には、誤差を最小化するために、非常に小さなエアークッションが使用されています。特殊な液体の場合は、その液体に合わせて、ユーザーが簡単に調整することもできます。また、元の出荷時設定に1分以内に戻すことができます。

ポジティブディスプレイスメント式

ポジティブディスプレイスメント式のピペッティングシステムでは、チップのピストンが、エアークッションを挟まずに直接液体と接触します。ピペットのコンタミネーションは防止されています。この方式のピペットとして、エッペンドルフでは、Multipette®(北米地域ではRepeater®)、Biomaster®、Varipette®(北米地域ではMaxipettor®)を用意しています。

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粘性

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  • 問題:粘性の高い液体は流動抵抗が大きい(グリセリンなど)。
  • 所見:液体がチップ内に完全に吸引されるまでの時間が不明、チップの壁面に液体が付着したまま残る。
  • エアークッション式ピペットの場合:ゆっくりと操作する、リバースピペッティング。
  • ポジティブディスプレイスメント式ピペットを推奨:ピストンのシーリングリップによってチップがきれいにクリーニングされる。

Application Note 386

Application Note 211

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密度

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  • 問題:液体の密度がエアークッションのサイズに影響を与える(エタノールなど)。
  • 所見:吸引される量が安定しない。
  • エアークッション式ピペットの場合:液体に合わせてピペットを調整する(容量を調整することにより容量固定式ピペットになる)。
  • ポジティブディスプレイスメント式ピペットを推奨:エアークッションが存在しないため問題が発生しない。

Application Note 242

User Adjustement: Reference 2

User Adjustement: Research Plus

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蒸気圧

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  • 問題:蒸気圧の高い液体の場合、エアークッションが伸張する(アセトンなど)。
  • 所見:ピペットから落滴する。
  • エアークッション式ピペットの場合:5回以上プリウェットする、リバースピペッティング(正確さは向上するが落滴が発生する)。
  • ポジティブディスプレイスメント式ピペットを推奨:エアークッションが存在しないため問題が発生しない。


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有害性

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  • 問題:エアロゾルによりピペットのコンタミネーションが発生することがある。
  • エアークッション式ピペットの場合:高効率のフィルターチップを使用する(ep  Dualfilter T.I.P.S.®など)。
  • ポジティブディスプレイスメント式ピペットを推奨:ピストンのシーリングリップにより、液体が安全にディスペンサー内に封入される。

Application Note 327

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洗剤の含有

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    • 問題:洗剤により水の表面張力が低下する。液体がチップ内に残留する。
    • エアークッション式ピペットの場合:低吸着効果のあるチップを使用する(epT.I.P.S.® LoRetentionなど)。
    • ポジティブディスプレイスメント式ピペットを推奨:ピストンのシーリングリップによってチップがきれいにクリーニングされる。

    Applicatipon Note 218

    Application Note 192

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    発泡性

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    • 問題:液体を移動すると泡立つ。サンプルを正確に吸引することが困難。
    • アークッション式ピペットの場合:リバースピペッティング。
    • ポジティブディスプレイスメント式ピペットを推奨:リバースおよび残余ストロークにより発泡のための空間が確保される、ピストンのシーリングリップによってチップがきれいにクリーニングされる。